空印寺 八百比丘尼の椿 February, 2020

小浜市 空印寺

幕府大老 酒井忠勝候の菩提寺である空印寺は小浜市後瀬山の麓にある。空印寺には、八百比丘尼が入定したという洞窟があり、入口には椿が植えられている。

伝えられるところによると、その昔、小浜に住む長者の娘が、知らずして人魚の肉を食べ不老不死の身となってしまう。娘は、家族や親戚縁者が年老い亡くなっていく中で、不老不死の我が身を憂い仏門に入る。諸国遊行の末、故郷、若狭小浜に戻ったあと、即身成仏を願い入定したというのがこの洞窟である。
椿の花を愛した比丘尼は、洞窟の入り口に椿を植え、「この椿の花が枯れたら、私が死んだと思ってください」と言い残し、洞窟の中に入ったという。
他にも、この洞窟には不思議な話が残されていて、空印寺の住職が洞窟の奥へと入っていったところ、京都丹波の山中に出てしまったというのである。
残念なことに、数十年前、近くで行われた鉄道工事の際、洞窟は落盤。数メートル進んだところで通路が塞がってしまい、もはや確かめるすべがない。

高校生の頃、それでも興味があって友達とこの洞窟に入ったことがあるのだけれど、久しぶりに訪れたら、洞窟の前に、「危険なため立ち入り禁止」の看板が置かれていた。