侘助

金沢から羽咋(はくい)までが四十五分 羽咋で北陸鉄道能登線に乗り換える それより三明(さんみょう)までは五十分とのこと 三明でバスに乗り換え・・・
松本清張の作品を映画化した「ゼロの焦点 監督 野村芳太郎」の禎子の独白です。
能登半島の冬の海は荒れ、船便も滞ります。能登の発展には鉄道が必要と三明からさらに北への路線が計画されていたのだそうですが、軟弱な地盤に工事は難航、資金も尽きてしまい中断されてしまったとのことです。今では、羽咋から三明に続く路線も廃線となり、映像の中でしかその姿を見ることができません。映画には、志賀町にある「ヤセの断崖」に立つ禎子の姿が映るシーンがありますが、その断崖も平成十九年三月に起きた能登半島の地震で断崖の先端部が三十メートル以上崩落してしまい当時の姿はないと聞きます。

被災地は悲惨な状態にあることを日に日に知り、復興には多くの時間を要することと思いますが平穏な日々が一日でも早く能登に訪れることを願うばかりです。