一日一花 川瀬敏郎

一日一花。一月一日から翌年の三月三十一日まで、日々生けられた草木花の写真集です。生けられているのは山野や道端で採取したものばかり。
川瀬敏郎さんのなげいれと一言を、日々愉しんでいる一冊です。
巻末にはなげいれにつかわれた草木花の植物名索引もあり、これもまた重宝します。

「私がとりくんだのはなげいれの花でした。なげいれにつかうのはあらゆる花です。花をさがしにいくたびも山野へ足をはこぶうちに、きれいに咲いた花にもまして、虫に喰われ、風雨に傷つき、息も絶え絶えに枯れきったものなど、生死をおのずと思わせる花々につよくひかれるようになりました。・・・道端で眼にした、なんでもない一本の草が、いけることで、ときには崇高でさえある姿を見せてくれるのですから、楽しくないはずがありません。・・・ 川瀬敏郎 」

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食卓は笑う 開高 健

開高 健さんが、アラスカから南米大陸の最南端までおりていく旅から帰ってからしばらくし、サントリーの佐治敬三氏と食事をする機会がありました。南米で聞かされた小話を紹介したところ、佐治氏は体をのりだして、「ウチの広告に酒のサカナとして連載してくれや」と。話は進み、毎月一回、一年間にわたって毎日新聞に連載された後、出来上がった本。
たしかに面白いのです。食事やお酒を呑む時はたのしいお話がいいですね。
本文イラストレーションは、柳原良平さん、加藤芳郎さん。

雲霧仁左衛門

雲霧仁左衛門  池波正太郎

稀代の大盗賊雲霧仁左衛門を追うのは、安倍式部率いる火付け盗賊改方。鬼平犯科帳で知られる長谷川平蔵が活躍した時代より、五十年ほど前の物語。
長官 安倍式部は、遠く江戸を離れ苦しい探索を続ける部下に、ふところから十両もの金を出し、「これも、ついでに高瀬と政蔵へ送ってやるがよい。それは、わしの金じゃ。遠慮なく小遣いにして、たまさかには気分をはらすように、申しそえてやってくれ。」たまには、酒をのみ、うまいものでも食べ、妓たちとも遊ぶがよいと言うのである。池波正太郎はせりふにその人柄を語らせる。片や雲霧仁左衛門、狙う相手はつねに、汚れた手を隠してぬくぬくと暮らしている大商人。だれ一人傷つけることなく大金を奪い、雲か霧のごとくに去ってゆく。
この二人が率いる組織の虚々実々の知恵くらべ、命懸けの戦い、二重三重のどんでん返しのある展開はスリリングで、本を手から離せなくなってしまった一冊。

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