金剛流 豊春会 秋の能 2024

金剛流 豊春会 秋の能
October 20th, 2024   京都 金剛能楽堂


通小町

京都・八瀬の山里で一夏の修行[夏安居。九十日間籠もる座禅行]を送る僧のもとに、木の実や薪を毎日届ける女がいました。僧が、問答の末に名を尋ねると、女は、絶世の美女、才媛であった小野小町の化身であることをほのめかし、姿を消しました。
市原野に赴いた僧が、小町を弔っていると、その亡霊が現れ、僧からの受戒を望みます。そこに、背後から近づく男の影がありました。それは小町に想いを寄せた深草の少将の怨霊でした。執心に囚われた少将は、小町の着物の袂にすがり、受戒を妨げようとします。
僧はふたりに、百夜通いの様子を語るよう促します。少将からの求愛に、小町は、百夜通って、牛車の台で夜を過ごせば恋を受け入れると無理難題を出します。少将はどんな闇夜も雨、雪の夜も休まず、律儀に歩いて小町のもとへ通いました。そのありさまを再現します。百夜目。満願成就の間際、まさに契りの盃を交わす時、少将は飲酒が仏の戒めであったことを悟り、両人ともに仏縁を得て、救われるのでした。

狂言 因幡堂

大酒呑みで家事もせず、時に自分をいびる悪妻が親元に行ったのを見計らって離縁状を送りつけた夫。自由の身になったものの一人暮らしはやはり不便だと、新しい妻を娶るために夜通し祈願をすべく因幡堂を訪れます。
それを知り烈火のごとく怒って因幡堂にやって来た妻は仏前で祈願の最中に眠っている夫を見つけ、その枕元で「西門に立っている女を妻にするように」と囁きました。それを夢のお告げと思い込んだ男は、西門に立っていた被衣を被った女を新しい妻とするため自宅へ連れてゆき婚礼の盃を交わしますが、この女もまた大酒呑みで盃を返そうとしません。女の被衣を取るとその女は離縁した筈の妻でした・・・

因幡堂の男を演じられていたのは 茂山宗彦さんでした。
NHKの朝ドラ「ちりとてちん」では、徒然亭小草若の役。懐かしいです。

仕舞  笹之段・敦盛・松虫

乱 (猩々)

中国のかね金山の麓、揚子の里に、高風という大変親孝行の男が住んでいました。ある晩のこと、高風は、揚子の市でお酒を売れば、富み栄えることができるという夢を見ます。夢のお告げに従って、お酒の商売をしたところ、高風はだんだんとお金持ちになっていきました。
高風が店を出す市では、不思議なことがありました。いつも高風から酒を買い求めて飲む者がいたのですが、いくら酒を飲んでも顔色の変わることがありません。高風が不思議に思い、名を尋ねると海中に棲む猩々だと名乗りました。
その日、高風は、酒を持って潯陽の江のほとりへ行き、猩々が現われるのを待っていました。そこへ赤い顔の猩々が現われます。猩々は友の高風に逢えた喜びを語り、酒を飲み、舞を舞います。そして心の素直な高風を称え、今までの酒のお礼として、酌めども尽きない酒の泉が湧く壷を贈った上で、酔いのままに臥します。それは高風の夢の中での出来事でしたが、酒壷はそのまま残り、高風の家は長く栄えたといいます。



夏の京都 隆兵そば

隆兵そばは、桂橋のたもとにある蕎麦屋さん。打ち水をされた店の前に立つとしばし暑さを忘れます。開店時刻少し前に着いたのですが、外は暑いので中の席でお休みくださいと入れてくださいました。店内は清楚で品のある設え。盛りそばと辛味大根おろし蕎麦をいただくことにしました。愛宕山水系の井戸水をつかって調理されているということです。麺はしなやかに腰のある細麺、いい香りです。シャキッとした辛さの辛味大根おろし蕎麦は、夏にうってつけの味でした。後で出された蕎麦つゆには薬味がついていて、この上ない美味しさ。お店のピークタイムを過ぎれば、季節の食材を使った一品物の料理も出していただけるということで、次回はそれを楽しみに。蕎麦塩をお土産に買って、お店をあとにしました。

夏の京都 中村軒

隆兵そばをあとにして、中村軒へ。中村軒は創業明治十六年(1883)の饅頭屋さん、隆兵そばより徒歩一分の場所にあります。暑い中、店先の列に並ぶこと四十分、やっと入店することができました。
中村軒のお饅頭の餡は、創業以来、くぬぎの割り木で炊いているそうです。
お盆の期間だけ販売されるおはぎ、ところてん、かつら女を注文。かつら女は、黒蜜にきな粉を混ぜて、氷水にひたした厚みのある板状の葛をからめて食べます。甘さほどよく、ひんやりとして、とっても美味しい夏の甘味です。