散り椿

散り椿

京都 地蔵院にある散り椿、正確には五色八重散椿。椿が散る際は花が花首から丸ごと落下しますが、五色八重散椿は、花が散るとき花弁が一枚ずつ散り、その散り際はまことに綺麗ということです。

葉室麟の「散り椿」、木村大作監督によるオールロケーションの撮影ということで、これは観たいと行ってきました。
日本の様式美、美しい殺陣、日本の四季、凛としたせりふの数々…素晴らしい映像美に見入った二時間でした。

原作の複雑なプロット、登場人物の心の機微を二時間枠の映画に納めるのは大変だったろうなと思います。
原作にある
散る椿、残る椿があると思えばこそ、見事に散っていけるのだ。 榊原采女
くもる日の影としなれる我なれば目にこそ見えぬ身をばはなれず 古今和歌集
は、映画にも取り入れられていますが、原作を読んで初めてその言葉の意味を深く味わえるような気がしました。

地蔵院の散り椿の見頃は三月下旬…来春、見に行きたいなと思いつつ映画館を後にしました >^_^<

「あれから七十年巡りくる八月」

幼馴染みの父上から「あれから七十年巡りくる八月」と題した冊子をいただきました。

「昭和二十年四月、勤労奉仕隊員として満州東寧報国農場で作業に従事するため渡満。同年八月九日未明、ソ連軍の突然の侵攻により捕虜となる。捕虜収容所での抑留生活を経て帰国。」
までの体験談が、平明端正な文章で綴られています。

あとがきを紹介します・・・

「戦争中は何もかも物資不足で、ほしがりません勝まではの合言葉に皆辛抱をしてきた。また、米英鬼畜の教育で、小学校にあった日本とアメリカの友好のシンボルであった青い目の可愛らしい人形まで、先生の指導で、竹槍で突き、滅茶苦茶にこわしたこともあった。最後は神風が吹き、日本は絶対に勝つが先生の口癖教育であった。そして、戦時訓で、日本は絶対に降伏してはならない。捕虜になれば恥だと教えられ、各戦地において、多くの日本兵は玉砕や自決をせざるを得なかったのであろう。せめて半年早く降伏しておれば特攻や沖縄戦もなかったであろうし、もう十日早く降伏しておれば原爆もソ連の満州侵攻もなかっただろうと思うと、時の政府か軍部のやり方か知らないが、未だ何とも腑に落ちない。 <中略> ここに記した事は、若き日に満州で体験した事の一部であるが、若い方々には、今の平和な日本においてそれらの事がイメージできないかもしれない。然し、戦争の愚かさ、平和の大切さを、ここから少しでも身近に感じていただくことができたなら、私にとっては、思い出したくもない事ながら書いた甲斐があると思う。」

和のおかず 野崎洋光

やさしく親切で気のきいた即戦力の料理本はないものかと探していたところ、ついに見つけました。
人気TV番組「プレバト」に時折、出演していらっしゃる分とく山の野崎洋光さん。
一口食べただけで、その調理方法を類推しコメントをする卓越した知識と舌と技、流石としか言いようがない。やさしい語り口ながら決して妥協したところがない。随分苦労されたのだろうなと…苦労された人の優しさと厳しさは一味違うと感心。
とても分かりやすいレシピで、何とか作れてしまうのです。しかも、ちょっとしたコツが書いてあって、こうするだけでこうも違うものかと…目から鱗とはこのこと。
野崎さんのお料理レッスンコラムも楽しく、知識が増えます。
さぁ 男料理・・・時々がんばるぞ。

レシピ

人気の定番料理
和えもの・酢のもの・サラダ
酒の肴
焼きもの・揚げもの
煮もの・蒸しもの・鍋もの
ご飯・汁もの
甘味・デザート

野崎さんのお料理レッスンコラム

だしのとり方と活用術
おいしい味づくり
ご飯の炊き方
作りおきして便利な「薬味」と「たれ」
魚の鮮度の見分け方
盛りつけの基本
毎日のお弁当
陶器の扱い方
土鍋の扱い方
今どきのおせち

和のおかず決定版 「分とく山」の永久保存レシピ
野崎洋光      別冊家庭画報

 

「手しおにかけた私の料理」 辰巳芳子 

辰巳芳子さんのドキュメンタリー番組を見て、買ったのがこの書。

手しおにかけるとは、「深い愛情の積み重ねを日々の生活に忠実に行うことである。」と言う。
また前書きには、こうある。
「・・・つくりたいとお思いになるところだけ拾い読みせず、一度は初めから終わりまで通読していただきたいのです。・・・つくりたいところだけ拾うという取り組み方は、自分のしていることが、本当はわかっておらず行動する方の動きに似ているように思います。通読してのち、必要に応じた頁を開いていきますと・・・これで、はじめて、真の意味で、仕事の段取り、回転ができる方となり・・・」

ただの料理指南書ではない。読む者にも背筋の伸びた姿勢が要求される。
「だしとは何か」から始まる。 曰く、「…日本料理は、焼きもの以外、汁もの、煮もの他、だしの力によって美味しく、食べよくできており、知らず知らず、その養分が体力となるようになっている。」

出来上がりのだしを買うという発想はこの書にはない。だしの材料となる素材と選び方、そして基本のだしのつくり方が解説される。恥ずかしながら「一番だし・二番だし・煮干しだし」という言葉は聞いたことはあったが、その何たるかを初めて知ったしだい。

日本料理を具体的、実践的な視点から論じた素晴らしい文化論としても大変価値のある書であると言えよう。昨今、「食育」という言葉がもてはやされているが、なんとこの書の骨太なことか。

紹介されている四季折々の家庭料理は、260余点。つくるつくらないは別にして、日本の家庭に是非一冊と思う。

「手しおにかけた私の料理」   辰巳芳子  婦人之友社

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八つ墓村

アマゾンプライムを覗いていたら、松竹版の「八つ墓村」のところで目が止まってしまった。そのまま観てしまうことに…

金田一耕助を演じるのは、渥美 清さん。
物語の中心となる寺田辰弥・森 美也子役を、萩原健一・小川眞由美。
そして、山崎 努、大滝秀治、中野良子、山本陽子、市原悦子、花沢徳衛ら多くの名優が脇を固める。
監督:野村芳太郎 脚本:橋本忍 音楽:芥川也寸志

原作を翻案し、独自の解釈を加えたストーリー展開となっている。流石、野村芳太郎監督、これは原作より面白いかもしれない。
忌まわしい怨念のある村に凄惨な事件が続くなか、渥美 清演じる物静かで穏やかな金田一耕介のせりふは、癒しを与えてくれる。

岡山県高梁市成羽町の吹屋ふるさと村にある広兼邸を「多治見家」として、ロケが行われたとのこと。今でも映画のシーンそのままの風景があるなら、一度は行ってみたい….。