谷中、花と墓地  E.G.サイデンステッカー

独りでの花見はたいてい谷中に決まっていた。どの国においても、墓地は美しい。東京の墓地も例に漏れない。上野のれん会のタウン誌「うえの」に掲載されていたサイデンステッカーさんの随筆集。図書館で借りて読んだのだけれど、読後、手元に置いておきたいと思った一冊。読んでいて、文章がとても心地よいのです。著者は、定年後、アメリカと日本を半年ずつ住む暮らしを続けていたとのこと。東京で暮らすのは梅の花の初春から花菖蒲の咲く初夏まで。日本の春の花々をたのしみたいというのがその理由のよう。まったく、読んでいると著者といっしょに花を愛でながら東京の下町を散策しているような気分になります。ほんとうのところ、東京の下町をゆっくり歩いたという経験はなく、せめて一週間ほど滞在して、随筆の場所を訪れてみたいと思いました。できれば春に。失われつつある日本の文化への警鐘もあり、幾度となく読み返したい書です。

「小津映画」の章より
・・・ところで、小津の映画に出てくる人物たちはみな行儀が良い。というのは、単に礼儀作法が良いということではない。役に応じたそれぞれの人物たちの控え目な会話やしぐさの中に、人間的な温もりを感じられるということである。それは小津が創り出した虚構の人物では決してない。映画の背景を支えている日本文化が持っていた本来の美質だ。 
最近の日本は「国際化」という意味不明な掛け声に埋もれているが、その一方で、世界が認めているはずの大切な文化がどんどん壊されているのだから皮肉な話である。国際的であるためには、確立された自国の豊かな文化をまず身に纏うことである。己の土台をないがしろにして他に認めてもらうことはできない。・・・

リボルバー 原田マハ

2019年6月19日
19世紀のオランダの画家ビンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)が自殺に使用したとされる拳銃がパリで競売にかけられ、約2,000万円で落札された。
出品された銃は7ミリ口径のリボルバー。赤錆がうきボロボロの状態だった。落札したのは電話で参加した個人の収集家。名前は明かされていない。

ストーリー・テラー原田マハが語るゴーギャンとゴッホの物語。
史実に基づいたフィクションと巻末にことわり書きがありますが、楽しめた一冊でした。

浅川マキ 1977 京大西部講堂

あの時の音源がYouTubeやCDになっているとはつゆしらず、懐かしく聴きました。
あの時と言っても、浅川マキさんの京大西部講堂でのコンサートへ行ったのはもう45年も前のこと。
黒ずくめの浅川マキさんが時々お酒で喉を潤しながらのコンサート、時間を追うごとに盛り上がり、「それはスポットライトではない」では、ドラムのつのだひろもサビを歌うライブならではのパフォーマンス。
あの時は、たしか、途中から泉谷しげる、山下洋輔も飛び入り参加で、長く楽しいライブの夜だったように覚えています。

人形文楽「五番町夕霧楼」

若州竹人形座公演  人形文楽「五番町夕霧楼」 若州一滴文庫

コロナ禍も少しおさまり、二年ぶりの若州竹人形座公演に行ってきました。会場の若州一滴文庫は、梅雨の晴れ間。京阪神から来られた方も多く盛況でした。

今回の演目は、水上 勉原作「五番町 夕霧楼」・・・金閣寺放火事件と水上 勉氏自身の実体験が題材になっている作品です。

会場の若州一滴文庫のことを少し… (#^^#)

水上勉さんが、故郷 福井県おおい町に設立した若州一滴文庫、山裾にひっそりとたたずみ四季折々の風情が楽しめます。水上氏の蔵書約二万冊の図書室他、水上 勉さんゆかりの方々の絵画、書、若州人形座の竹人形等が展示されています。昨年は、水上 勉さん生誕百年の年、庭に記念樹が植えられていました。

トップガン マーヴェリック

本作の監督ジョセフ・コジンスキーが、前作「トップガン」を劇場で観たのは12歳の時だったというのには驚き。36年ぶりの続編は、懐かしい名曲「デンジャー・ゾーン」とともに始まります。

劇中、アイスマン(バル・キルマー)が、マーヴェリック(トム・クルーズ)に伝える言葉 “It’s time to let go” が印象に残りました。字幕は戸田奈津子さん、戸田さんならではの訳は映画を観てのお楽しみ。
劇中アイスマン(バル・キルマー)は、マーヴェリック(トム・クルーズ)とタイピングしてコミュニケーションを取ります。バル・キルマーは、実際にも深刻な咽頭癌と闘病しており、声を失ってしまっています。マーヴェリックとの別れ際、アイスマンが絞り出すように話す唯一の音声はAI技術を使ってキルマーの本当の声から再生したものだそうです。

さて、ジェニファー・コネリー演ずる爽やかな女性ペニー・ベンジャミン。前作で見たような記憶がなく調べてみましたら、なんとセリフの中だけでその名前が語られていました。今回は重要な役どころ。

コンピュータグラフィックは使用せず実写でとの方針通り、F18の戦闘シーンはすべて実写。この迫力は是非、劇場で・・・と思います。