若狭カレイの一夜干し

塩を施してから一晩陰干しにする「若狭カレイの一夜干し」は、ピンク色の卵巣が透けて見え、まことに美しい姿。魚屋の店先に吊るされる一夜干しは、当地の風物詩のひとつです。

軽く炙って食べるのが常ですが、ほどのよい塩味とほんのりとした甘さが美味。日本酒と共にいただくと一段とおいしくなります。

若狭カレイと呼ばれているカレイは、若狭湾で獲れるヤナギムシカレイのことで、笹がれい、甘がれいと呼ばれることもあります。

カレイの種類は多く日本近海だけでも40種類近くになりますが、カレイは回遊をしないので、若狭カレイと呼ばれるヤナギムシカレイはまさにその名の通り若狭湾でしか獲れないと伺いました。

江戸時代の書物(今で言うグルメ雑誌)「日本山海名産図会」に「淡乾の品多しとはいえども是天下の出類、雲上の珍美ともいうべし」と紹介があるように、その美味しさは古くから知られていたようです。

日常の食卓の品にするには少々値が張り、そうそう頻繁に食するわけにいかないのが残念なところです。

蒸鰈左丹後へ続く道 ことは