金剛流 春の能 平成30年5月20日
「金剛流の春の能」を鑑賞。日本の様式美の美しさに圧倒されたあっというまの四時間。
この日の演目は… 能 「隅田川」 - 狂言 「仏師」 - 能 「絃上」
演目が終了したあと、地謡方による附祝言「高砂」も耳に心地よく圧巻。
金剛流
金剛流は能楽シテ方五流派(観世・宝生・金春・喜多・金剛)のひとつで、古くは奈良時代に法隆寺に奉仕した猿楽座の坂戸座を源流とし、五流のうち四流の宗家が東京を本拠地にしている中で、関西に宗家が在住する唯一の流儀であるとのこと。
金剛能楽堂
金剛能楽堂は、かつての室町幕府の「花の御所」の近くに開館。室町時代の旧金剛能楽堂の能舞台がそのまま移築されている。
「金剛流 豊春会 春の能」 演目
能組
能 「隅田川」
狂言 「仏師」
能 「絃上」
隅田川
隅田川の渡し場に、息子を捜して旅する狂女がやって来る。『伊勢物語』に描かれた在原業平の故事に思いをはせ、自らを業平になぞらえて浮かれ戯れる狂女。そんな彼女も乗客に加わり、舟は漕ぎ出してゆく。
対岸に着くまでの間、船頭は去年この地に起こった出来事を乗客たちに語る。それは、都から誘拐されてきた子が、この地で亡くなったという話であった。実は彼女こそ、その子供の母親だったのだ。船頭は彼女をその子の墓へ案内し、追悼の大念仏に加わるよう勧める。その夜、大念仏をおこなっていると、群衆の念仏の声に混じって死んだ子の声が聞こえてきた。やがて塚の内から現れた子の幽霊。わが子を抱きしめようとする母だったが、幽霊はそんな彼女の手をすり抜けると、そのまま消えてしまうのだった。
絃上
藤原師長は、琵琶の名手を求めて唐に旅立つ。旅の途中、須磨の浦で出会った老夫婦に一夜の宿を借りる。師長が宿を借りた塩屋の主の求めに応じて琵琶を弾いていると、突然雨が降り出す。老人が琵琶の心得のある者と気がつき、一曲を所望する。 老夫婦は、琵琶と琴で合奏を始める。師長は「あなたは一体誰なのか」と老夫婦にたずねると、自分たちは村上天皇と梨壷女御であると師長に正体を明かして、かき消すように消えてしまう。
村上天皇の霊が登場し、龍神に命じて琵琶の名器獅子丸を竜宮から持って来させて師長に授ける。師長が琵琶を弾き始めると、八大龍王が助演者として加わり、村上天皇も自ら見事な秘曲を奏で、舞を舞う。
狂言 仏師
在所で持仏堂を建立した田舎者が、そこに安置する御仏を買い求めに京の都へやってくる。なかなか仏師を探せない田舎者の元へ、都の詐欺師が近づき自ら仏師であると偽って、仏の種類・大きさ・値段を交渉して金を騙し取ろうと企てる・・・