若州一滴文庫 June, 2018

 

若州竹人形座公演 人形文楽「曾根崎心中」に行ってきた。

曾根崎心中

原作 近松門左衛門
脚本 水上 勉
演出 幸 晃彦
語り 飛鳥井かがり

会場の一滴文庫のことを少し… (#^^#)
水上勉さんが、故郷 福井県おおい町に設立した若州一滴文庫、山裾にひっそりとたたずみ四季折々の風情が楽しる。水上氏の蔵書約二万冊、梅原猛・筑紫哲也・倉本 聰・瀬戸内寂聴・広中平祐氏他、水上さんゆかりの方の書画、若州人形座の竹人形等が展示されている。
水上さんの若州一滴文庫の設立の趣旨にとても感銘を受けたので紹介。

『たった一人の少年に』

ぼくはこの村に生まれたけれど、
十才で京都に出たので
村の学校も卒業していない。
家には電灯もなかったので、本もよめなかった。
ところが諸所を転々として、
好きな文学の道に入って、本をよむことが出来、
人生や夢を拾った。
どうやら作家になれたのも、本のおかげだった。
どこかに書庫をと考えたが、
生まれた村に図書館を建てて、
ぼくと同じように本をよみたくても買えない少年に
開放することにきめた。
大半はぼくが買った本ばかりだ。
ひとり占めしてくさらせるのも勿体ない。
本は多くの人によまれた方がいい。
どうか、君も、この中の一冊から、何かを拾って、
君の人生を切りひらいてくれたまえ。
たった一人の君に開放する。

水上勉 昭和60年3月8日