あいの風塔婆は海を見つめをり

ことは May 22nd, 2018 

唐の王女

福井 若狭湾に矢代という漁村がある。矢代には大同元年(806年)創立の観音堂があり、縁起には、この村で起こった忌まわしい出来事が記されている。
「その昔、沖に一艘の漂流船があった。船に乗っていたのは唐の王女と女﨟であった。王女が所持していた財宝に目がくらんだ村人たちは、彼女らを殺害しこれを奪った。しかし、ほどなくして村に悪疫が流行った。村人たちは王女たちの祟りを怖れ、唐船の木材で堂を建て、姫の奉じていた観音像を安置し、罪を懺悔し霊を供養するために王女を弁天様として祀った。」
この話を知った時の、どこまでも美しい青い海と長閑で静かな漁村の風景がいつまでも心に深く残っている。弁財天を祀る御堂は小浜市矢代崎の山腹に今でも現存する。御堂には、小船で行く他に方法はないらしい。