京都迎賓館

三度目の正直 京都迎賓館

実は四月と九月に参観許可をとっていたのですが、いずれもその日の前日に「緊急事態宣言により参観をしていただくことができなくなりました」との電話。二度あることは三度あるという言葉もあるしなぁと思いつつも十月に再挑戦。

京都迎賓館は平成十七年に開館。日本建築の伝統の美と粋に現代建築の技術を取り入れて設計されたとのことで、是非、一度いきたいと思っていました。
緊急事態宣言が解除になったとは言え、コロナ禍対応のための人数制限もあり、一緒にまわった方々は六名。
参観証を門前で見せると、地下一階の受付へ。手荷物検査や身体チェックは厳重。手提げかばん以上の荷物は持ち込み不可でロッカーへ。カメラは可とのことでひと安心。

日本の伝統技術・美術、携わった職人の方々の匠の技に、ため息がでるような時間でした。


聚楽の間

晩餐会などの際、招待されたゲストの控室。

安楽椅子
安楽椅子は、鉄や釘を一切使わない京指物。布地は「西陣織」

竹花篭の飾り台
「漆」、「螺鈿(らでん)」、「竹工芸」などの技法が施されているということです。


夕映の間

会議や晩餐会の待合に使用。 東西の壁面には「比叡月映(ひえいげつえい)」、「愛宕夕照(あたごゆうしょう)」の名の織物作品が部屋をつつみます。
壁面は可動式になっており部屋の大きさを調整できる造りになっているのには驚きました。


和舟

庭園の池を「舟遊び」できる設え。ブータン国王夫妻が和舟をたのしまれているご様子の映像をみせていただいました。


行燈

行灯は本美濃紙を使用。鉄や釘を一切使わない京指物で組まれています。


桐の間

桐の間は、「和の晩餐室」。釘隠しや襖の唐紙などには「五七の桐」の模様。
「五七の桐」は、皇室の裏紋として使用されていましたが、現在は日本国政府の紋章として使用されているとのことです。

座椅子
座椅子の背には「五七の桐」の「蒔絵(まきえ)。桐の葉の色は微妙に違い、同じ模様の椅子は一つもないとの説明でした。

欄間
桐の間の欄間は、截金(きりがね)の装飾が施されています。品名は「日月(にちげつ)」。


イグサの良い部分のみを使い中央でつなぐ「中継ぎ表(なかつぎおもて)」という昔ながらの技法の畳。畳縁は、麻の本藍染が使用されています。


庭園

池を中心に、建物に融け合うように造られ、古来より日本人の住まいに貫かれた伝統「庭屋一如」の思想を体現した庭園。


廊橋

廊橋の船底天井
東西の建物をつなぐ廊橋の天井は、船底を逆さにしたように中央部が高く、両端が低くなった「船底天井」です。吉野杉を使用。橋の四隅には、昆虫の透かし彫りが・・・水面の光が天井に揺れて美しい姿でした。


藤の間

藤の花の花言葉は「歓迎」・・・洋食の晩餐会等に使用される迎賓館で一番大きな部屋です。

壁面装飾「麗花」
壁面装飾は、日本画家の鹿見喜陌(しかみ きよみち)の下絵をもとに、綴織りの技法による織物。39種類の日本の草花が織り込まれています。
床に敷かれた緞通には、「藤の花」が描かれていました。

舞台扉 「截金」
人間国宝 故 江里佐代子の作品。金箔と銀色のプラチナ箔を使用。作品名は、「響流光韻(こうるこういん)」

几帳 きちょう
几帳は、室内の間仕切りや目隠しに使われます。絹の薄織物の「紗(しゃ)」よりも薄い「羅(ら)」織物や漆、京縫い、組紐などの伝統技能が用いられています。


玄関