草枕

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」

齢を重ねるにつれ、ことさらに同感…有名な冒頭は覚えていたが、その後につづくくだりを読み返すのは、高校生だった時以来のこと。

「住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟ったとき、詩が生れて、絵ができる。人の世を作ったのは神でもなければ鬼でもない。やはり向う三件両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。あれば人でなしの国に行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。越す事のならぬ世が住みにくければ、住みにくいところをどれほどか、寛容て(くつろげて)、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職ができて、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊い。」  草枕  夏目漱石

なるほど、詩人や画家というにはほど遠く、ましてや、芸術の士などという大それたものに成れるものではないけれど、いろんな芸術というものや自然に触れ、時々は自分でも、何かをつくってみたりするのもそう悪いことではないのかもしれない…と思ったしだい >^_^<

 

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