長田 弘 詩ふたつ グスタフ・クリムト 画

クリムトの風景画と長田 弘さんの詩ふたつからなる詩集です。長田 弘さんはあとがきで「わたしにとってのクリムトは、誰であるよりもまず、樹木と花々の、めぐりくる季節の、死と再生の画家です。」と書かれています。「人という文字が、線ふたつからなるひとつの文字であるように、この世の誰の一日も、一人のものである、ただひとりっきりの時間ではありません。一人のわたしの一日の時間は、いまここに在るわたし一人の時間であると同時に、この世を去った人が、いまここに遺していった時間でもあるのだということを考えます。 長田 弘」

春の日、あなたに会いにゆく。
あなたは、なくなった人である。
どこにもいない人である。
どこにもいない人に会いにゆく。
きれいな水と、
きれいな花を、手にもって。
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