おくのほそ道 素龍清書本(復刻版)

敦賀は「おくのほそ道」の最後の歌枕です。芭蕉は、元禄二年の秋、敦賀に入り、色ケ浜で清遊した後、杖と笠を敦賀に残し、大垣へと旅立ちます。敦賀が「杖おきの地」と言われる所以です。

芭蕉は、千住大橋から始めた旅を終え、五年の歳月をかけ「おくのほそ道」を完成します。門人の柏木素龍がこれを清書。清書本の巻末には「元禄七年初夏 素龍書」の文字があります。芭蕉はこの清書本を肌身離さずもち歩いていたということです。
芭蕉の死後、素龍清書本は、向井去来、京都の久米升顕、小浜の吹田几遊、敦賀の白崎琴路をへて、敦賀の西村野鶴の手に渡ります。以来、西村家で大切に保管されてきました。

この西村家所蔵の「おくのほそ道」素龍清書本の復刻版があることを知り、過日、敦賀市博物館で購入してきました。(木箱入りで定価3,000円でした。)
ありがたいことに活字に起こした別冊がついており、こちらを頼りに、ほんとにぼちぼちと読んでいるところです。

十四日の夕暮れ、敦賀の津に宿を求む
月清し遊行のもてる砂の上 

十五日、亭主の詞にたがはず雨降る
名月や北国日和定めなき